「世界はいま」 帰朝報告「テロ厳戒態勢のサウジアラビア王国」 |
副会長(56期) 小林 基宏 |
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2004年春定年退職後、2年間の再任用先を任期1年を残して昨春3月、思い切って勇退いたしました。(勤続、満40年間でした)
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モンゴル国の教育改革(10年制から12年制への移行)に協力する文部科学省の調査で、ウランバートル市へJICAから派遣され、零下30℃を体験しました。 |
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外務省の「海外青年招聘プログラム」で来日したスリランカからの初中等教育の学校教員に「教育工学」の講演をさせていただいたご縁で、再び同じプログラムで来日したラテン系の陽気な中南米学校教員の皆さんに講演(3時間)する機会が与えられました。 |
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発展途上国どころか世界屈指の大富豪国サウジアラビア王国に対して、わが国が今後とも石油の輸入に関して良い関係を維持するため「見返り作業」の一環として「教育技術移転作業」を担うべく外務省、文科省及びJICAからの要請で、教育専門家としてテロ厳戒態勢のリヤド市に短期(25日間)派遣され先年暮れに帰国した処でした。 |
■サウジアラビア王国現地所感 |
此の度の私の現地派遣は、大変に有意義に任務を果たすことができました。
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歓迎の夕べの集い |
D&T教育センター専門家執務室にて |
GOTEVOT、産業技術教育省という機関が管轄する産業技術大学、短大、工業・商業高校、職業訓練所の教員再教育システムにおける技術教育の教授法についてディスカッションすることと、そのモデル的プレゼンテーションの実践ということが務めの内容でした。機械や電気、建築等の技術教育に携わる教員を研修指導するインストラクターたちのみなさんに「技術教育教授法」に関する指導を実施しました。 |
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みなさん教育現場の経験豊かな30代前後半の方々ばかりでした。 |
冬に向かうというこの時期でも、日中の陽射しはゆうに30℃を越して外に立ちつくすわけにはいきませんが、朝夕には15℃以下にはなりました。ともかく乾燥度が高く一日2リットルの飲料水を欠かせません。洗濯物は室内でもすぐに乾き、朝に残したパンが夕方にはパリパリで、割るとパラパラと小麦粉になってしまうのでびっくりしました。
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キャンパス内にあるモスク |
IT授業風景 |
そっと忍んで旧市街をtaxiで何度か巡り、博物館も見学できました。
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黄砂漠。鉄分の多い赤砂漠。土漠(どばく:礫が多い)。 奇岩「魔女の顔」 |
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砂漠のダイヤ(結晶化した砂)探しに疲れて。 |
土漠の民の農作物(大根とカブ) |
最後の週には、GOTEVOTほかに所属する教職員に対する講演会、「職業訓練に関する指導方法(教育工学)」の講演会が開催されました。本目的の集約的作業が、インストラクターのほか指導主事クラスの学位(博士)を有する指導者の方々30名に講演(3時間)させていただけたという成果となりました。 |
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インストラクターへの指導 |
講演会の最終画面 |
英語で講演させていただきましたが、現地のJICA事務所の話では、普通は講演の最中でも中座する人が居るものだということでした。たいへん熱心に聴講していただき質疑応答にも多くの時間が割かれ、思いがけなく盛大な拍手をいただいて誠に光栄でした。手を挙げた方が「また来て欲しい」と言ってくれました。用意したアンケートにも、パワーポイントの画面が素晴らしかったなどと多くの分量で高感度の感想が述べられていて感激しました。 |
リヤド市内にある広大な「サウジアラビア王家の遺跡」も見学できました。 |
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笑い話になりますが、生命保険の代理店を営む卒業生に、生命保険の相談をしましたら、「テロで死んだ場合は政変扱いで保険金が出ないので無駄だ」と聞いたときは、あの9.11の事件の丁度一ヶ月前にNYにいた経緯がありましたので、ほんとうに覚悟をしました。こうして務めを無事に果たせて帰国できましたことを心より有り難く思っております。まだ、時差ボケが残っておりますが、休講していた各大学の講義の補講に向けて新たな資料も準備しなければなりませんので頑張りたいと思います。また、何かとお世話になりますが、何卒宜しくお願い申し上げます。やはり、日本にあって心置きなくご交誼いただけることが一番です。
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